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Phantom Planet/The Guest
★★★★★
まさかジェイソン・シュワルツマンに音楽でもヤラれる事になるとは思わなかったぜ。というわけで今日は、ファントム・プラネットの2ndアルバム(2002年2月発表)のご紹介。
冒頭に書いたように、このバンドは映画「天才マックスの世界」で主演をつとめたジェイソン・シュワルツマンが在籍している事でも一部で有名。そんなわけでジェイソン氏がリーダーみたいなイメージもあるんだけど、実際のリーダーはソングライター兼リード・ボーカル(兼ギター)のアレクサンダー・グリーンウォルド氏でしょう。ジェイソン氏のパートはドラムなので、そういう目的の方(ってまずいないと思うが)にはオススメできない。
で、そうじゃない目的で聴くならこれがパワーポップの傑作アルバムなんすよ。とりあえずサンクス・クレジットにマシュー・スウィート、ジェイソン・フォークナー、ウィーザー、スローン、カーラズ・フラワーズの名がある、という事で何か感じるならそれだけで買って損はないと思う。
ファウンテインズ・オブ・ウェイン等を想起させるキャッチーなポップ・ソングが勢揃いしており、前半をミディアム〜スロー中心にして、後半に比較的アップテンポな曲を集める、という構成からも彼らの楽曲に対する自信が窺える。全12曲で42分という構成も完璧。
これで演奏が上手かったら擬似童貞及び不思議ちゃん受けするものになりそうだが、適度に荒っぽい演奏がロッキンで、エッジが効いていてとても良い。ミッチェル・フルームとチャド・ブレイクによるプロデュースもバンドの長所をよく理解した好仕事。
また、こういうバンドだとボーカルがあまり上手くないというパターンも多いんだけど、ファントム・プラネットに限ってはその心配も無用。アレクサンダー氏の艶のある、色気たっぷりのボーカルが楽曲のスケール感アップに一役買っており、バンドの大きな魅力の一つになっている。特にバラード曲におけるドラマチックさは他のパワーポップ・バンドではまず味わえないかと。
「California」という曲もあるけど、アメリカン・バンドっぽさは希薄(アレクサンダー氏のボーカルのせいもあるだろう)。やはり彼らもおれの考える「アメリカ出身のブリティッシュ・バンド」なのかもしれない。
と、まあゴチャゴチャ書いてきましたが、このアルバムを聴いておれも久しぶりにポップ・ソングの魔法を信じてもいいかな、と思ったよ。
ちなみに初回盤には未発表曲とライブを収録したおまけディスクがついております。

The White Stripes/White Blood Cells
★★★
現在話題沸騰中のホワイト・ストライプス3rdアルバム。
完全に「60年代ガレージバンド」といった風情。そこまでだったら良くあるタイプなんだが、メロディのセンスまで60年代風で非常に良く書けていて、この二つの絡み合いが心地よい。ヨーロッパで受けたのもこのメロディあってこそだと思うなり。ベースの不在を逆に生かした軽いアレンジも印象的。
ただし、「Hotel Yorba」や「Fell In Love With A Girl」といったラジオ映えするポップソングがある一方で、「Little Room」のようにアイデア段階の曲をそのまま収録してしまうというデタラメさも共存しており、まだ本人達が方向性を特化させていないと思われる。ま、それはそれで面白いんだが、元々曲のバリエーションが少ないだけに、単に波があるだけにしか思えない部分もある。というわけで今後はそこらへんをもう少し煮詰めて改善していただきたいところ。
あと、1曲が短いのは買うんだけど、それにしても全16曲で40分ってのはちょっと長いだろう。これだったら12曲30分のアルバムを作って、余力を次の作品にまわした方が良くないか?
「Fell In Love With A Girl(試聴)」

Pet Shop Boys/Release
★★★
うおおおお。ゲイ・テイスト全開なジャケット最高! というわけで先月発売されたペット・ショップ・ボーイズの最新作(たしか9thアルバム)。やたら地味だという世評が多数だけど、実際に聴いてみたらそれほどでもなかった。
というかそんな事言うんだったら前作「Nightlife」も今作に負けず劣らず地味なアルバムだったと思うんだが。絶対ににあれを聴いた人は「New York City Boy」に誤魔化されてるよな。
「Nightlife」ではシングルになった「New York City Boy」がやたら派手だったために他の曲が霞んでしまったのに対し、今作は傑出した曲がない分、全体的なバランスではこちらの方が良い。
サウンド的にはロック回帰というか。って、PSBが「ロック」だった事なんて一度もないので、「回帰」というにはちょっと違う気もするけど。ただ、ジョニー・マーの参加はこれまでに何度もあった事だけど、ギターがこれだけいっぱい入っているのは初じゃないか? レコード屋でかかってるのを聴いた時はニュー・オーダーの新曲かと思っちゃったぜ(ぉ)。
表面的な部分での「売り」には欠けるのかもしれないが、それが功を奏して彼等のソングライターとしての底力を実感できる作品になっている。

Brendan Benson/Lapalco
★★★★
前作から約5年半ぶりとなるブレンダン・ベンソンの2ndアルバム。なんともいとおしいポップソングの小品集である。おれなんかは、オープニング曲「Tiny Spark」の物凄く時代に乗り遅れたムーグ使われ方を耳にしただけで思わず顔がほころんでしまったよ。
前作みたいな「一体何が出てくるんだ!?」という破天荒な部分はなくなったけど、まあこの人もすでに三十路半ば。若気の至りみたいな事はもう出来ないという事だろう。前作は曲によって出来にバラつきがあったが、今作は全曲シングル・カットが可能な完成度の高い曲が並ぶ。
相変わらず演奏はヘロヘロ。しかし、この人は根本的にポップミュージックに対する姿勢が良いので許せてしまう。ギターとキーボードの使い分けが上質で、これを聴くとブレンダン氏って自分のソングライティングと演奏力の折衝点を考えて考えて見出した秀才型の人間って感じがするね。前作のおかげで天才型のように思われているのかもしれないけど。なんとなく、前作がビートルズだとしたら今作はウイングス、というような対比も思い浮かんだ。
こういうアルバムを2年に1枚ぐらいのペースで作ってくれるんだったら文句はないよ。全12曲42分。ジェイソン・フォークナーが前作に引き続き参加しております(共作曲あり)。宅録人間(←おれだよ、おれ。)は参考にしましょう。

Brendan Benson/One Mississippi
★★★
ついでだからブレンダン氏の1stアルバム(96年発表)も取上げてみる。今聴いてみると、確かにここには今のブレンダン氏が失ってしまった、ポップソングのマジックを追求し続けた人間が発する狂気がある。
特にオープニング3曲がメドレー状態で矢継ぎ早に繰り出される所は圧巻で、発売当時に「驚異の新人登場!」と騒がれたのも納得。やたら完成度の高いラジオフレンドリーな楽曲が、ヘロヘロだけど勢いのある演奏に乗って放たれまくる様は爽快感抜群。ほとんど宅録状態のサウンドも、軽やかさを生み出すという長所になっている。ブリブリ鳴りまくるベースがやたら気持ちいい。
全14曲42分と総収録時間が次作と全く変わらないのは、この人がポップミュージック及び自分の奏でるべき音楽についてちゃんと理解できている証拠。
というわけで、10年後にカルト的な人気を得てもおかしくはない…んだけどおれはこれ聴くんだったら2ndの方を選ぶなあ。やはり一般に聴かれるポップミュージックとしては圧倒的に2ndアルバムの方が優れているのだ。
つまりは「原石」のままでいる事と「成長(もしくは洗練)」のどちらを評価するかって事なんだろうけど、おれは絶対に後者。っていうか前者みたいなのを好きな奴って絶対に「ネオアコ→音響系」みたいなのも誉めるよな。アホかっての。
で、シークレット・トラックに入ってる脳天気なカントリー・ソングは一体何なんだ?

Ol' Dirty Bastard/The Trials And Tributions Of Russel
Jones
★★
まさかODBの新作に星2つをつける事になろうとは…。冒頭のへったくそな歌はらしくて笑ったけど、それ以外は全てが空回りするアルバム。何より主役であるODBが全然はっちゃけてないのがつらすぎる。悲しくなるのでなかった事にしたい。
と思ったら、この作品って正式なアルバムというよりは、服役期間の家族の生活費を稼ぐために未発表音源をイジくって出した、あくまでもエクストラ的なアルバムだったのか! 最近の音楽事情知らないもんで全く知らなかったよ。ウータンの新作にも不参加だったし、そりゃあ新録なんて無理だよな。それを考えるとまあこの程度でも仕方ないのか、と納得。

The Queers/Pleasant Screams
★★★★★
クイアーズが久々にLookout!に戻っての最新作をリリース。前作は怒りすぎていたたせいでかなり空回りしていた曲もあったが、今作では開き直ったかのように「みんなが期待するポップパンクなQueers」的ナンバーばかりをほとんど嫌がらせのように連発。金太郎飴バンドここにあり!ですよ。
名作「Punk Rock Confidential」の雰囲気に近いのは、当時のプロデューサーであるMass Giorginiが復帰したせいだろうか。また、ドラマーがTeen IdolsのMatt Drastic氏に変更されているのも要注目。しかし、そんな変化も何のその、今作でもジョー氏の怒りは相変わらずで、「ジョック野郎のパンクスは死ね!」とか歌ってて痛快極まりない。
MTXが何時の間にか完全に白痴向けバンドになってしまった事を考えると、彼等がスポイルされずにここまで生き延び、そして現在も質の高い作品を発表し続けているのはかなり奇跡的な事なのかも。
彼等が他の所謂「ポップ・パンク」系バンドと比べて抜きんでているのは、メロディの纏め方が非常に上品であるところ。例えば「See Ya Later Fuckface」の最後の「Tonight!」の部分とか、そこまでせんでも、という所までいちいち纏める細かい気遣いが作品の聴き心地を高めているのである。サウンド作りにおいても、ボーカルの立たせ方の上手さなどは他のバンドと雲泥の差がある。
タイトルから何となく想像がつくかもしれないが、このアルバムはクイアーズの元ドラマーだった故Hugh O'Neill氏と故ジョーイ・ラモーンに捧げられているのであった。泣かせるねえ。でも中身は相変わらず2分半(←3分ではない!)のチージーなボンクラ・ポップソングばかりなのであった(ぉ)。つうかマジでこういうバンドがなくなったらおしまいじゃねえか?
これは徹底的3コードの快感を突き詰めた傑作なので、「こういうバンド」がどういうものかを味わうためにもぜひ聴く事をお勧めします。ただ、いくらなんでもアルバムの締めは悪ノリしすぎ。
「Get A Life And Live It Loser(試聴)」

The Bluetones/The Singles
★★★
レーベル移籍に伴って発表されたブルートーンズのベスト盤。っていうか、今じゃアルバム3枚でベスト盤1枚ってのが当たり前なんだよなあ。業界ではCDが売れない売れない、って言うけれど自分で自分の首絞めてるのが分からんのか?
まあ、それはともかくとしてブルートンズですよ、ブルートーンズ。こうやって改めて過去のシングル曲をまとめて聴いてみて、彼等の4ビート風のいなたいリズムがいかに独特で素晴らしかったか、という事が確認できた。これだけで御飯3杯はいけますよ。今の英国で、その「いなたさ」まで含めて最も「モッズバンド」然としているのは実はブルートンズなんではないだろうか? これはかなり独自な見解だと思いますが。
で、その反面、コード進行に対するメロディの弱さ、それもキャッチーなサビを書く能力に著しく欠けている事も痛感させられた。だって例えば「If...」とかって、どう考えてもイントロのベースラインに歌メロが負けてるだろ。また、彼等はいかにも英国のバンドらしく微妙に定石を外したコードを挿入する事が多いんだが、そこの部分になるとどうしても歌メロの弱さが露呈してしまう。このベスト盤に収録された新曲でもその問題は未解決のままなので、今後の改善を切望。っていうかそれが出来ればもう一花咲かせる事も夢ではないぞ。
彼等ってデビュー前にはドッジーのメンバーと共同生活を営んでたりしてたんで(だから現在のキーボーディストは元ドッジーのリチャード・パインなのだ。)、おいらにとってはどうしても憎めない存在ですわ。頑張って欲しいっす。あと、いつの間に「Autophilia」が「Autophilia Or How I Learned To Stop Worrying And Love My Car」って、まんま「博士の異常な愛情」なタイトルになったんだい?
「Are You Blue Or Are You Blind?(試聴)」

The Beards/Funtown
★★★★★
もしあなたがもう一度ポップソングの魔法を信じたいのなら、何はなくともこのアルバムを聴くべきだ。このアルバムがロック史を変える事はないだろうし、新たな流れを作る事もないだろう。ただひたすらに「ポップソング」という、人類のためにはこれっぽちの役にも立たない代物を作る事に命をかけているバカな連中がまたやらかした、というわけだ。全11曲29分。傑作である。もちろん、こういう他愛のない歌の中にだって真実はあるのだよ。おれが言いたいのはこれだけ。下にゴチャゴチャ書いたのは無視してくれ。
というわけでマフスからキムが、元Buckにして現Lisa Marr Exeperimentの二人(Lisa MarrとSherri Solinger)が参加したサイド・プロジェクト「The Beards」のアルバムが到着いたしましたぜ。実は現物が届くまでは、単純にキム氏の新曲が聴けるというだけで星10個ぐらいつけてもいいかなあ、とか思ってたんだけど、実際に聴いてみて、いかにおれが白痴であったかを思い知らされたよ。これは二人の才能あるソングライターが自分のすべき事をきちんと成した、嘘も虚栄もない誠実な作品である。だからそれに対して星10個とかアホな事はするべきじゃないんだっての>おれ
誤解しないでほしいのは、このThe Beards、以前に予想していた通りBuck寄りのユニットで、主導はあくまでもリサ氏。じゃあマフスのファンは満足できないのか? というとそういうわけでもない。実はアルバムの要所要所を締めるのはキム主導の曲なのである。「My Pillow」はキム氏のボブ・ディラン好きが初めて形になったフォーキーな曲だし、「Big Dumb World」は「Alert Today Alive Tomorrow」を経たマフス節が炸裂しまくる名曲! おれはこの曲のためだけに一万円払ってもいいね。そしてアルバム最終曲ではフランク・ブラックのカバー「Thalassocracy」(アルバム「Teenage Of The Year」からってチョイスが最高!)を披露し、久々にキムのシャウトが大爆発するのだった。
しかし、ソングライターが二人、それも違うバンドから出張して来たってのに共作曲がゼロってのはある意味すげえな。ボーカルも曲を書いた人間が担当するという完全分業制だし。というかこの作品に「友達と楽しくやりましたー。」ってな気持ち悪さがないのは、二人のソングライター(特にキム)に「死んでも内輪受けになってたまるか。」というはみ出し者(マフスは「シーン」のどこにも属せていないし、リサ氏はL.A.に住むカナダ人だ。)ならではの誇りと意地と信念があるからだ。だからアルバム全体からはリラックスしたムードだけでなく、常に程よい緊張感も漂ってきて途中で聴き手をダレさせない。
まあ、キム氏の曲と比べると、リサ氏のそれは相対的に浅い所で発想しているのでちょっとつらいんだが、どちらも非常にウェルメイドなポップソングである事に違いはないので、聴いていて不満を感じる事はない。さすがに二人ともこういう曲は書き慣れてますな。
プロデュースはレッド・クロスのジェフ・マクドナルドが担当。同じくレッド・クロス組からGere Fennellyがハープシコードで、元ザット・ドッグのアンナ・ワロンカーがコーラスで参加している。
特筆すべきは、エンハンストCDとして全収録曲のビデオクリップが収められている事。まあ中身は完全に自主製作レベルの代物だけど、その心遣いが嬉しいじゃありませんか。
さあ、次はマフスの新作っすよ!

The Get Up Kids/Something To Write Home About
★★
最新作も発売間近なゲット・アップ・キッズの2ndアルバム(99年発表)。そもそも基本的な部分でのソングライティングがなっていない代物だった。
バラードは特に酷いが、アップテンポなナンバーは勢いがあるのでそこそこ聴ける。ただし、それ以前にポジティブ感満点で中途半端に熱いボーカルがとにかく鬱陶しい。まあ、最新作がスコット・リットのプロデュース、というだけで彼等がどういう人達なのか分かりそうなものだが。
よくここらへんの「エモ」系アーティストとウィーザーが比較されるけど、ウィーザーの方が100倍くらいクレバーですな。あと、バンド名のどうしようもなさについては誰も突っ込まないのか?

Eggstone/Vive La Difference!
★★★
スウェディッシュ・ポップの代表格エッグストーンの3rdアルバム(97年発表)。1stアルバムでは所謂「スウェディッシュ・ポップ」の雛型的作品を放ち、2ndでは骨太ロック・バンドと化した彼等だが、この3rdアルバムではこれまでの作品で見せた2つの側面を融合させようとしたものと思われる。
だが、実際に出来上がった作品を聴いてみると、ソングライティングと演奏が上手く噛み合っていない。「Head Around」とか何を延々引き延ばしてんだ、って感じだしな。元々ライブ・バンドとしての実力はかなりのものなだけに、それを音盤に刻み込むための努力をしているのは分かるけど。
というわけで、明らかにこれは失敗作でしょう。「これぞエッグストーン!」という作品になる予定だっただけにバンド側のショックも大きかったと思う。この後5年以上も沈黙を続けているのは単に寡作型バンドだから、という理由のみでは片付けられないはず。というか開き直って、また1stみたいにめちゃポップなアルバム作ってくれよ(っていうか今聴いたら2ndの方が好きかも)。
ただこのアルバムは歌詞がいいんだよ。いや、内容がっていうんじゃなくて、とにかく音の響き最優先で作られた意味皆無の言葉の羅列が凄まじい。特に「Supermeaningfectlyless」(これもタイトルからしてアレだな)のサビの「oh oh so many ways/really stunning ways/through the ozone/oh oh so sunny rays/landing on my face/supermeaningfectlyless」ってのを聴いた時はちょっと感動した。これは英語が「外国語」である国のアドバンテージでしょう。

Travis/The Man Who
★★
トラヴィスの2ndアルバム(99年発表)。良く書けた曲がプロデュースによって台無しになるという好例。まず、バンドが鳴らしている音の背後にとりあえずノイズを挿入しておけばかっこいいだろう、と本気で考えている時点で駄目。こういう場合、それこそジェイムズがやっているように、ノイズを「楽器」として扱って前面に押し出すか、楽器の鳴らされた「結果」として付随させるべきなのだ。それが出来ていないのはプロデューサーが何も考えてない証拠。
というわけで責任の8割方はプロデューサーのナイジェル・ゴッドリッチにあると考えてよい。この人のプロデュース作としては、ベック「Mutations」、レディオ・ヘッドの「OK Computer」以降の3作、ディヴァイン・コメディ「Regeneration」、ペイヴメント「Terror Twilight」、トラヴィスのこの作品と「The Invisible Band」等が挙げられるが、揃いも揃って駄作(ジェイソン・フォークナー「Can You Still Feel」とナタリー・インブルーリア「Left Of The Middle」は未聴)。ただし、シルヴァー・サンの「Silever Sun」(97年発表)は良いので、その直後に制作されたレディオ・ヘッドの「OK Computer」あたりから勘違いし始めたものと思われる、ってまたレディオ・ヘッドかい! やっぱりレディオ・ヘッドとナイジェル・ゴッドリッチは90年代後半〜00年代における2大悪だな。
このアルバムでもマイク・ヘッジズがプロデュースした3曲の方が遥かにシンプルで、ダイレクトに耳に届いてくるのだが、そんな事気付いてもいないだろう。バカだから。つうかバンド側も早くこいつを止めろよ。
なんというか、ジェイムズをプロデュースしていたブライアン・イーノはクレバーだったと改めて思い知らされた次第である。
・例えばミッチェル・フルーム&チャド・ブレイクのプロデュース・ワークを「銀残し処理を用いた映画」とするなら、ナイジェル・ゴッドリッチのそれは「手持ちのデジカメを用いた汚っねえキネコ作品」という感じか。で、ナイジェル・ゴッドリッチとレディオ・ヘッドが組んで作られたのが「ダンサー・イン・ザ・ダーク」。
そういえば(実際の)「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のサントラにもトム・ヨークが参加してるんで一応つながるな。

Midtown/Living
Well Is The Best Revenge
★★
所謂「エモ」な方々の新作(2ndアルバム)。物凄く浅い所で発想された曲が延々と続く、辛すぎる一品。
おれが基本的に「エモ」にあまり好感を抱いていないのは、そのほとんどが「それ以外の何か」であるフリをしているからだ。しかも本人達までそれを本気で信じているのだからさらにタチが悪い。このバンドもその典型。やっぱり心意気としては「It's Only Rock'n'Roll But I Like It」の方がおいらは好きだ。
それ以前に、例えばPhantom Planetあたりと比較しても、演奏技術ではMidtownの方が全然上手いのに、曲の練り込まれ具合や閃きの部分では全然負けている。ここらへんは真性文化系と繊細なふりをした体育会系の違いというかね。あと、やたらめったらリズム・チェンジするのがヒップだという勘違いはやめないさいって。
いや、これ聴いてブリンク182って頭いいんだなあ、と思いましたよ。やっぱりメインストリームって偉いんだな、とかなんとか。

Shakira/Laundry Service
★★★
とりあえずそのベリーダンスに★★★★★だあ! というわけで日本でもヒットしている、シャキーラのワールドワイド・デビュー盤。
1stシングル「Whenever,Whenever」のビデオクリップで披露しているベリーダンスが(おれの中で)話題騒然ですが、このアルバムでも「オラオラ!」と強気で迫るエロを披露しまくっていてたまらんね。それだけでこのアルバムは飽きずに楽しめますよ。まあ、おれからしてみればもうちょっと露出度を高くしていただいた方が嬉しいが。
実際のサウンドは、ちょっとラテン色の強いポップ・ロックといった感じなので、別にラテン好きじゃなくても楽しめるはず。ラテン色はどちらかというとサウンドよりもボーカルに濃厚に表れております。
曲自体もベタなメロディーにベタな韻を踏んだ歌詞にエロ(←ここ重要)と三拍子揃っていて問題なし。それに、ワールドワイド・デビュー盤とは思えない程チープなサウンドとか「Te Dejo Madrid」の露骨な「Song 2」ぶりとかツッコミ所も多くて思わず笑っちゃったぜ。楽しー。
まだ今年で25歳という事で、少なくともあと10年は後ろから前から…じゃなくて目から耳から楽しませてくれるわけだから、なんとも頼もしいかぎりっす。

Del Amitri/Can You Do Me Good?
★★★★
デラミトリの約5年ぶり、ベスト盤から数えると4年ぶりとなる新作が登場。
オープニング曲の「Just Before You Leave」は、ベスト盤からの新曲となった「Cry To Be Found」と同系統の、ソウル色の強い仕上がり。良い曲だが異常なほど地味。しかもこれが先行シングルなんだからヤバくねえか? と不安に。しかし、2曲目の「Cash & Prizes」は以前のようなデラミトリ節に打ち込みが乗った佳曲なんで一安心。さらに続く「Drunk In A Band」はバカみたいにうるさいギターが印象的な、ボンクラ路線まっしぐらの傑作。それ以後もデラミトリ節は健在で、結局最後まで持続してくれたから当初の不安は杞憂だったんだけどさ。
全般的にソウル色の強い、そのままやったら暑苦しくなりそうな曲が多数なのだが、打ち込みとアコギの軽いストロークとの合わせ技が絶妙で、非常に聴きやすい作品となっている。ロック・バンドの打ち込み導入としては、昨年のキャストの「Beetroot」と双璧を成す作品だと個人的には思う。まあ、キャストが打ち込みの導入をコク出しに使っていたのに対し、デラミトリの場合は打ち込みをアク消しに利用しているという点で違うのだが。
また、アルバム全体を通しての楽曲の質とバランスが良いので、これまでの彼等のオリジナル・アルバムでは最も完成度が高いのではないかと。っていうか、これならアメリカでもう1回ぐらい大きなヒットを飛ばす事も可能なのでは? 今のデラミトリってTFC以上に「グラスゴーの良心」を感じさせるバンドなので、なんとか頑張って欲しいところ。ただし、シングル・カットする曲はもう少し考えてから選びましょう。
ちなみに、プロデューサーとしてあのケビン・ベーコンが参加しております(ケビン・ベーコンはThe Bacon Brothersでの活動により、ミュージシャンとしての評価も高い)。